大分大学医学部地域医療学センター長のご挨拶

2021年10月1日をもって、前大分大学医学部長 山岡𠮷生先生の後任として、大分大学医学部附属地域医療学センター長に就任致しました。

日本全国で、「医師不足」および地域や診療科での「医師偏在」は長年の課題です。大分県においては、大分・別府を除く医療圏での医師の不足や偏在、診療科の偏在が大きな問題となっており、地域医療現場における住民の不安の解消と地域医療に従事する医師の疲弊の改善は急務であります。

また、令和の時代を迎え、少子高齢化に対して2040年を見据えた医療・福祉政策が次々に打ち出されておりますが、地域間の医療に対するニーズの違い、地域における個々の病院の経営形態の違いなど、改革を進める際に解決しなければならない多くの課題があります。このような中、大分大学医学部の使命は、大分県内に勤務する良質な医療人の育成と適切な人材供給とその配置です。医学教育改革や専門医制度改革が進む中、地域医療のやりがいや使命感を自覚させ、地域医療に参画する医師の育成を意図したカリキュラムやプログラムが構築され実践されています。

地域医療についての教育活動の充実や二次医療の地域完結を可能にする長期的な対策を講じる目的で、2010年に設立されたこの地域医療学センターも、今年度で11年目を迎えます。これまで様々な施策に取り組んでまいりましたが、中でも最も評価されている制度の1つとして、「地域枠制度」があります。大分県におきましては、「地域枠医学生・一期生」が卒業して10年が経過し、多くの地域枠出身医師が大分県内の地域中核病院で活躍しています。他県でも実施されている同様の制度と比較しても離脱率は低く、大学からの医師派遣の適正化が図られつつあると実感している次第です。医学部生には診療所実習「シャドウイング(3年次)」や提携病院での「地域医療実習(5年次)」など、早期に地域の現状を多角的に学習することができ、ひいては地域医療従事へつながるようなカリキュラムを展開しております。さらに今年度の入試から「地元出身者枠」を導入し、10名が入学してきました。これらの医学生が、卒業後、大分の地域医療の現場で活躍してくれることと確信しています。

その他、地元高校生への地域医療魅力発見セミナー、大分県下の研修医の情報交換会、大分県外の研修医への県外研修病院の紹介活動など昨年度は中止、あるいはWeb開催となった事業について、新型コロナ感染症の状況を見極めつつ進めていきたいと思います。当センターでは、時代と地域のニーズにあった地域医療体制の構築を目指し、人材育成と人材配置に、さらに尽力したいと考えています。今後、更なる努力を重ねてまいりますので、一層のご指導ご鞭撻のほど、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

2021年10月
大分大学医学部附属地域医療学センター長
大分大学医学部長 杉尾 賢二

【公式】大分大学医学部付属地域医療学センター