地域医療学センターでは、医学生の教育面に多く携わっています。地域医療を深く理解し、将来、地域医療のリーダーになれる人材育成を心がけています。
3年生に対して2週間にわたって、地域医療に関する講義と診療所実習(シャドウイング)を行っています。
■内科分野では、総合診療科の講義やグループワークを行っています。また、「在宅医療」や「緩和ケア」など地域医療に密接したテーマを取り上げ、著明ない講師を招いての特別講義を行うこともあります。
■外科分野では、疾患別・臓器別ではなく、症状からみた横断的な外科学講義(症候学)を行っています。さらに、杵築市立山香病院の小野隆司院長先生による、ご自身の体験を基にした海外での災害・救急医療や僻地・離島を含む地域医療に関する講義を行っています。
地域医療の実際に触れ、地域で求められる「かかりつけ医師」の役割とそのキャリア形成を理解することにより、地域医療に貢献できる力を育むことを目的とした診療所実習(シャドウイング)を行っています。学生は、2日間にわたって、診療所・クリニックを見学し、所長や院長の先生方による実地講義を受け、地域医療への理解を深めています。
内科・外科分野それぞれに配属された4年生に対して、2か月以上にわたり、研究の立案から発表までを指導しています。
■内科分野では、医療のみならず、介護や福祉を含めた地域医療における問題点についての研究を行っています。学生自らが、離島を含む地域での患者さんや住民への直接の聞き取り調査や医療従事者へのアンケート調査を行い、不明熱や認知症といった疾患から在宅医療や高齢者の終末期医療まで幅広い問題に取り組んでいます。
▲在宅医療とアドバンス・ ケア・プランニング(ACP)の現状と課題
▲認知症における骨密度の解析
■外科分野では、地域の外科医療の需要側(患者さんやそのご家族)と供給側(外科医、医療従事者)の各々の問題点に関する研究を行っています。外科分野においては、学生が地域にて直接患者さんや医療従事者にアンケート調査を行い、企画から解析、発表までを行っています。
▲外科手術療法の技術改革に対する評価:患者・家族と外科勤務医の相違
▲病病/病診連携の現状と課題
5年生に対して地域滞在型の地域医療実習を2週間にわたって行っています。本実習の目的は、体験学習を通して地域医療の現状・課題を理解し、地域住民が必要とする医療について考え、地域医療に貢献する能力を身に着けることです。
■全国でもまだそれほど実習が行われていなかった2011年度から行っています。1クール(2週間)につき、学生20~25名を約15の地域の病院に振り分け、その地域に泊まり込んで実習を行います。
■1クール(2週間)につき、学生20~25名を約15の地域の病院に振り分け、その地域に泊まり込んで実習を行います。
■本実習を通して、大学病院とは異なる地域医療の現場を体験し、「地域包括ケア・システム」について学習しています。また指導医の監督のもと、医療面接や身体診察だけでなく、採血や心電図検査、腹部エコー検査などの検査手技も経験できています。
■実習後に行っている学生全員からの実習の評価では、下記に示すように、いずれも地域医療に対するイメージや意欲が向上しています。
▲地域医療へのイメージ
▲地域医療への意欲
■また、センタースタッフが実習先病院に赴き、地域医療実習のフィードバックを行うことにより、毎年変更や改良を行っています。さらに、センターでは、実習先の指導医やコ・メディカルの方々と共に地域医療実習情報交換会を行い、地域医療実習への各施設の工夫や改善点などを共有する機会を設けています。